医療関係
2026.07.01
身体的拘束を最小化するための指針
1.はじめに
身体的拘束は、患者の生活の自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むものである。
当院では、患者の尊厳と主体性を尊重し、身体的拘束を安易に正当化することなく、
職員一人一人が身体的・精神的弊害を理解し、身体的拘束の廃止に向けた意識を持ち、
身体的拘束をしないケアの実施に努めるため、当院の指針を以下に定める。
2.身体的拘束最小化に関する基本的な考え方
⑴ 患者又は他の患者などの生命又は身体を保護するため
緊急・やむを得ない場合を除き、身体的拘束を行ってはならない。
(2) 身体的拘束は、抑制帯など、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、
一時的に当該患者の身体を拘束し、行動を制限することを言う。
(3) (2)の身体的拘束を行う場合には、その態様および、時間、その際の患者の心身の状況並びに
緊急やむを得ない理由を記録しなければならない。
(4) 身体的拘束最小化に係る専任の医師及び専任の看護職員から構成される身体的拘束最小化チームを設置する。
なお、必要に応じて、薬剤師等、入院医療に係る多職種が参加する。
(5) 身体的拘束最小化チームでは、以下の業務を実施する。
ア 身体的拘束の実施状況を把握し、管理者を含む職員に定期的に周知徹底する。
イ 身体的拘束を最小化するための指針を職員に周知し活用する。なお、定期的に当該指針の見直しを行う。
⦅身体的拘束の禁止の対象となる具体的な行為⦆
①一人歩きしないように、車椅子やベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
②転落しないように、ベッドに体幹や四肢を紐等で縛る。
③自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
④点滴・経管栄養等のチューブを抜かない様に、四肢を紐で縛る。
⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かない様に、
または皮膚を掻きむしらない様に手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
⑥車椅子・椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、
Y字型拘束帯や腰ベルト、車椅子テーブルにつける。
⑦脱衣やオムツ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
⑧他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐で縛る。
⑨行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
⑩自分の意思で開けることのできない病室等に隔離する。
3.緊急・やむを得ない場合の三つの要件
①切迫性:患者本人又は他の患者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高い事。
②非代替性:身体的拘束その他の行動制限を行う以外に代替えする方法がない事。
③一時性:身体的拘束そのほかの行動制限が一時的なものである事。
※身体的拘束を行う場合には、以上の三つの要件を満たすことが必要。
4.身体的拘束廃止に向けての基本方針
(1)身体的拘束の原則禁止
当院においては原則として身体的拘束を禁止する。
(2)やむを得ず身体的拘束を行う場合
本人又は他の患者の生命又は身体を保護するための措置として
緊急をやむを得ず身体的拘束を行う場合は十分に検討を行い、
身体的拘束による心身の損害よりも、拘束をしないリスクの方が高い場合で、
切迫性・非代替性・一時性の三つの要件のすべてを満たした場合のみ、本人・家族への説明・同意を得て行う。
また身体的拘束を行った場合は、その態様および時間、その際の本人の心身の状況、
緊急やむを得なかった理由を記録するとともに、出来るだけ早期に抑制を解除するよう努力する。
(3)日常ケアにおける留意点
身体的拘束を行う必要性を生じさせないために、日常生活に以下の事に取り組む。
①患者主体の行動・尊厳ある生活に努める。
②言葉や対応等で、患者の精神的な自由を妨げないように努める。
③患者の思いをくみ取り、患者の意向に沿ったケアを提供し多職種共同で個々に応じた丁寧な対応をする。
④患者の安全を確保する観点から、患者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行為は行わない。
⑤「やむを得ない」と身体的拘束に準ずる行為を行っていないか、
常に振り返りながら患者に主体的な生活をしていただけるように努める。
(4)向精神薬などを使用する場合
行動を落ち着かせるために向精神薬を使用する場合は、医師・薬剤師・看護師等で協議を行い、
患者に不利益が生じない量を使用する。また、薬剤の必要性と効果を評価し、適量の薬剤使用を検討する。
5.委員会の設置
⑴活動内容
①院内での身体的拘束廃止に向けての現状把握及び改善についての検討
②身体的拘束を実施せざるを得ない場合の検討及び手続き
③身体的拘束を実施した場合、週1回のラウンドと拘束者の解除の検討
④身体的拘束廃止に関する職員全体への指導
⑤高齢者虐待・身体的拘束に関するマニュアルの見直し
⑥身体抑制ゼロを目指して、患者に身体的拘束をすることがないよう、
安全な環境を目指して職員教育や、訓練、施設の整備などの実施
(2)構成
委員会は次の委員をもって構成し、医師を委員長とする
委員長 医師
委員 看護部長・看護師長・看護師・薬剤師・理学療法士
(3)運営
3か月に1回 定期的に開催する。また、必要時・緊急時は、随時開催する
委員長は、必要を認めた時は、委員以外の者を出席させ意見を聞き、又は資料の提出を求めることができる。
6.身体的拘束を行う場合の手続き
①カンファレンスの実施
・緊急やむを得ない状況になった場合、身体的拘束の廃止を目的として、各関係者かが集まり、
拘束による患者の心身の損害や拘束をしない場合のリスクについて検討する。
また、身体的拘束を行うことを選択する前に①切迫性②非代替性③一時性の三つの要件のすべてを
みたしているかどうかについて検討、確認する。
・要件を検討・確認した上で、身体的拘束を実施する場合は拘束の方法、場所、時間帯、期間等について検討する。
・廃止に向けた取り組み改善の検討会を行い実施に努める。
②患者本人や家族に対しての説明
・身体的拘束の内容・理由・拘束時間又は時間帯・期間・場所・改善に向けた取り組み方法を詳細に説明し、
十分な理解が得られるように努める。
・身体的拘束の同意の期限を超え、なお拘束を必要とする場合については、
事前に家族に、行っている内容と方向性、患者の状態などを説明し、同意を得た上で実施する。
③記録と再検討
・法律上、身体的拘束に関する記録は義務付けられており、
専用の様式を用いてその様子・心身の状況・やむを得なかった理由などを記録する。
身体的拘束の早期解除に向けて、拘束の必要性や方法を検討する。
その記録は5年間保存、行政担当の指導監査が行われる際に提示できるようにする。
④身体的拘束の解除
・③の記録と再検討の結果、身体的拘束を継続する必要性がなくなった場合は、速やかに拘束を解除する。
その場合には、家族に報告する。
7.身体的拘束・改善のための職員教育・研修
患者に携わるすべての職員に対して、身体的拘束の廃止と人権を尊重したケアの励行を図り、職員教育を行う。
①定期的な教育・研修の実施(年2回以上)
②新規入職者に対する身体的拘束・改善のための研修の実施
③その必要な教育・研修の実施
8.その他の身体的拘束等の最小化推進のための必要な基本方針
身体的拘束をしないサービスを提供していくためには、患者に関わる職員全体で十分話し合い共通認識を持ち、
身体的拘束をなくしていくような取り組みが必要である。
①マンパワー不足を理由に、安易に身体抑制をしていないか
②認知症であるということで、安易に抑制をしていないか
③転倒しやすく、転倒すれば大けがをするという先入観だけで安易に拘束をしていないか
④サービス提供の中で、本当に緊急やむを得ない場合にのみ身体抑制を必要と判断しているか
附 則
この規定は、令和6年6月から施行する。
令和7年4月1日改訂
令和8年6月1日改訂
当院の身体的拘束最小化に係する実施割合は以下の通りです。
対象期間:2026年4月1日~6月30日
| |
直近3か月間の入院料算定日数 |
直近3か月の入院料算定日のうち、
身体拘束を実施して日数
|
身体的拘束の実施割合 |
| 一般病棟 |
3381日 |
13日 |
0% |
| 療養病棟 |
2402日 |
0日 |
0% |
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